時計のイメージを作る文字盤の種類
かつて時計の文字盤の種類は多くはありませんでした。腕時計が商業用に販売されたころの素材は真鍮(しんちゅう)で、色はホワイトかシルバーがほとんどです。
しかし20世紀中盤に入りミリタリーウォッチの需要の高まりと共に、視認性の観点からブラック文字盤に夜光塗料と言う組み合わせが登場します。それがスポーツ系の時計に受け継がれ広く活用され始め、1970年代に入り様々な色が登場したのです。
そして近年には手の込んだ多彩な文字盤が登場し始めたのです。
プルーンタイプ
表面を平らに仕上げ、塗装を施すポピュラーなタイプです。光沢のあるミラーから艶を消したマットを利用し着色を変える事で、時計の印象が変わります。
シェルタイプ
光の当たり方や見る角度により印象が変化する素材です。天然の貝殻を利用しているため、同じ柄のものは存在しません。
サテンタイプ
金属粒子等を吹き付け、狭い感覚で細かな線をつけサテン地に仕上げたものです。凹凸の強いものを「梨子地」ともいいます。文字盤表面の反射を抑制するなどの実用的な意図もあります。
ギョーシェタイプ
文字盤の表面に細やかな凹凸を彫金し美しい形を施します。格子型、波型、ピラミッド型等様々な模様が施されます。高級時計では、職人が一つ一つの模様を刻み込み腕前を披露しています。
彫りコンピューター
コンピュータグラフィックを利用し作成された文字盤です。
文字盤に細やかなデザインが彫り込まれます。
ブロックパターンタイプ
エンボス加工により、格子状の大柄なパターンが刻まれます。文字盤上に立体の視覚効果を与える事ができます。
スケルトンタイプ
文字盤をシースルーにすることで、ムーブメントを鑑賞できます。ムーブメントも中抜きにすることでフルスケルトンにすることも可能です。
コンセントリックタイプ
レコード引きとも呼ばれます。文字盤の全体あるいは一部分に、同心円状の溝かヘアラインが刻まれています。クロノグラフではインダイヤルのみにコンセントリックを施す場合があります。
サンビームタイプ
文字盤の中央部分から外側に向かって放射線状の溝が彫られます。ヘアラインよりも強く陰影が出やすいのが特徴です。アクセントを強くするためにも、溝の深さや幅には変化がつけられています。
グラデーションタイプ
文字盤の色彩に濃淡のグラデーションが施された塗装方法です。光に関係なくデザインの効果が出ます。中心側を薄い色合いにし、外側を濃い色合いにするパターンが多いです。
クロワゾネタイプ
デザインを繊細な金線で仕切り、各色のエナメルを流し込みます。幾重にも焼き上げることで気品あふれる色合いに仕上げるクロワゾネ技法で装飾した文字盤です。
様々な文字盤の種類を紹介しましたが、買取り専門店では文字盤の色や需要・供給などを考慮して査定が行われます。近年買取り価格が高いのは、文字盤がハイテクなデザインなものやシンプルなものが多いです。